選挙でインターネットメディアを効果的に使う

2018年6月10日投開票の新潟知事選挙では、野党統一候補として池田ちかこ氏が立候補しました。その選挙戦を振り返り、インターネットメディアを選挙で使う方法について考察します。

選挙の前になってツィッターのアカウントを準備して拡散を始めたのでは、2週間の選挙で間に合わない事も多い。あらかじめ保有しているアカウントで、フォロワー数を増やしておく事が大切になります。ツィッターに限らず、選挙戦の前からSNS上でフォロワーが多ければ多いほど、短期間の選挙戦も有利に展開することができます。

市町村レベルの選挙では、インターネットを使った選挙は有効とは言えませんが、県レベルの選挙になるとインターネットの活用も十分に集票に影響を及ぼすようになります。また、全国比例などで出馬する場合は、インターネットの活用が集票に大きく影響を及ぼす可能性が出てきます。

Youtubeの動画は難しい

Youtubeで選挙の動画を公開しても、2016年選挙で政治動画で最もアクセスを集めた三宅洋平の演説レベルにアクセスを集めないとほとんど無意味です。普通の選挙演説をYoutubeで積極的に聞きたい人は、支持者であったとしても多くありません。効果が上がらない事に人員をつぎ込むだけ無駄になります。一般的な候補者が選挙期間中にアップロードするほとんどの動画は、支援者からの数百アクセスしかPVを得られない無価値・無意味なものです。なお、もともと知名度があったり、演説が上手な政治家候補者などで、1本の動画で1万以上のアクセスが集められる場合には、Youtubeの活用が非常に有効になります。

ツィッターのフォロワーが多い場合であったとしても、Youtube動画のURLのみをツィッターに貼り付けることは、多くの場合にアクセスがほとんど得られず無意味なことが多いです。Youtubeのアクセスを増やす効果があるのは、人気ブログに紹介されて貼り付けられたりすることなので、政治家がブログを保有している場合には、自分のYOUTUBE動画を貼り付けましょう。有名なブログなどに動画を貼り付けられたりすると、動画のアクセスを大きく伸ばすことができます。また、YOUTUBE動画の下にSNSやサイトのリンクを挿入しておくと、SNSのフォロワーを増やしやすくなります。

一般的な候補者の場合には、選挙期間中にYoutube動画を熱心に出すよりは、Twitter, Facebookで動画を出した方が拡散効果は期待できます。Facebookの政治動画は60代以上が圧倒的に多いので、ツィッター動画の方が年齢層が若い人にもアプローチすることができます。選挙で効果的にPRするには、若年層に向けてツィッター動画を特に強化していくべきでしょう。

実際、若年層に人気がある英労働党党首のJeremy corbynでさえ、日常のYoutube動画の再生数は多くなく、Facebook、ツィッターなどがメインに拡散が行われています。政治家の長い演説を全て聞く人はほとんどいないので、いかに広告効果が高い動画を見て貰える場所に出すかという事が重要になります。

ツィッター動画の効果

効果が上がるのは、アクセスが集まりそうなショート動画をツィッターの選挙公式アカウントでつぶやいてRTを集めれば、若年層に対する広告効果は高くなります。PV風に品質を保つのが難しければ、「演説の良い部分をそのまま切り取って」アプローチをかけるのが人気が高くなります。政治家の演説が上手な人であれば、どの部分を切り取っても非常に良い発言内容になっているはずです。

ツィッターにおいても10万再生以上出していければ、それなりの広告効果が見込めます。人気が高い弁士の動画で拡散を繰り返すことができれば、集票にも綱がるような広告効果が期待できます。

拡散される候補者の動画とは?

候補者のプロモーションビデオなどを作成することは非常に重要ですが、プロモーションビデオなどは、それほど『共感』を呼ぶことはありません。拡散される候補者の動画とは、候補者が熱を持って訴えている場面に共感が起こった時になります。プロモーションビデオは、いかに美しく作っても切り貼りしたものなので、共感を呼びません。

SNSで非常に多く拡散されるショート動画とは、1分ほどで候補者が熱心に訴えている演説などです。編集された動画よりも、むしろ候補者が話している演説の中からいかに素晴らしい部分を短く切り取るかのスキルが重要になります。特にショート動画の場合には、30秒以内に切る視聴者がほとんどなので、最初の10秒に重要な部分を持ってくることが大切になります。主張を1点に絞り込んで演説から分かりやすく切り取った動画をツィッターに流します。

拡散がうまくいけば、山本太郎さんの動画など1万RT、2万いいね!、100万回再生されて、選挙期間中に集票にも影響を与える数字を出すことが可能になります。

ターゲットに合わせた動画素材(広告)

ツィッターで動画広告を出したとしても、ターゲット年齢がずれていると、広告効果が失われてしまいます。特にリベラルと呼ばれる人たちが高齢者層ばかりに向けた広告、子育て世代の広告が多くなっており、若い男性などにアプローチできていない場合が多くなっています。若者に向けた若い広告を打ち出して広告効果を高める必要があります。陣営としては、若者世代、中高年世代、高齢者世代に分けて、男性、女性、マイノリティなど、どの層をターゲットにした動画を多く出すかを意識する必要があります。

1種類の広告だけではなくて、複数の種類の広告を短時間で作成して、どんどん流すような商業的な能力が求められています。具体的には、ターゲット層に合わせて音楽などを変更して、出演者をチェンジする事になります。若者向けにはポップが効いたリズミカルな音楽にして、年齢が高くなるほど落ち着いた音楽が良いでしょう。

政策が『市民に寄り添う』という事であれば、広告なども市民の利用するものに寄り添った形にならなければいけないでしょう。

選挙期間中の無意味な拡散

選挙期間中には、相手陣営を攻撃したりする行動というのは、相手の知名度を上げるだけでほとんど効果を持ちません。選挙期間中に効果がないものに時間を費やすほど、余裕がある陣営・支援者はいないはずです。自分の陣営をいかに上手にアピールするかに集中することが選挙で勝つ最短の方法になります。そのためには、自分の応援・支援する陣営のプロモーションを効果的に行う方法に集中すべきです。

例えば、アベヤメロなどの画像・動画は、野党側の支持者が大量に拡散したところで、自分の陣営の1票にも結びつかないので、全く無意味な自己満足です。選挙期間中に重要なことは、自分たちの主張を絞り込んで、多くのメディアを使って、全く政治に関心がない無党派層にも共感されるようなポジティブで前向きなコンテンツを提供することです。インターネット集票に必要なのは、とにかく『誰もが共感できる内容のメッセージ』を動画で拡散していくことです。

自民党議員が何を発言したという「炎上」を話題にしても、相手の票を減らすこともできなければ、自分の勝たせたい候補を浸透することにも繋がりません。本当に社会を変えようという意識を持って、自分が応援する候補を1人でも多くの人に認知させたいと思えば、選挙期間中に無駄な炎上に付き合っている暇はないはずです。

ツィキャス動画は見られずらい

選挙におけるツイキャスの配信は、もともとのファンサービスの意味が強いので、基本的に選挙スタッフが行う必要性は薄い場合が多いです。ツイキャスの長時間の視聴を行うのは、もともとの熱心な支持者が多くなります。もちろん、日常的にツイキャスを使う人が選挙の外部から撮影に来てくれる人のツイキャスしてくれるのはありがたい訳ですけど、こちらもフォロワー(ファン)向けの意味合いが強いものになります。

ツイキャスを行うならば、デジカメで撮影してツィッターのショート動画で上げる方が効果的です。ツィッターのショート動画は拡散力があり、選挙中にうまく拡散できれば、無党派の目にも届く可能性が十分にあります。その時に気を付けたいのは音声であり、候補者にインタビューする時など、周囲の雑音に気を付けましょう。音声が雑音だらけであったり、音声の品質が低すぎると、動画の効果が薄れてしまいます。

重要になる自主クリエーター市民の存在

候補者の演説を動画で撮影してアップロードしてあり、政党が出す公開された公式動画などを自主的に加工してツィッターにアップロードして提供する「自主クリエーター市民」の存在は、選挙活動において無視できない存在になってきています。テレビの選挙に対する報道姿勢が「公平」と称した沈黙であるのに対して、自主クリエーター市民は、オンライン上で自由に活動できるからです。

市民メディア、フリーランス、及び自主クリエーター市民が活発に活動することは、インターネット選挙が解禁された2013年から少しずつ活発になってきています。複数のクリエーターが別々に動画を作るメリットとして、それぞれの感性から動画を切り取ったり、加工したりすることで、切磋琢磨が生まれてシェアされる確率が高まるというものがあります。1つの広告代理店に依存するよりも、多種多様な動画ができる可能性が高まり、市民に受けが良くて1万以上の大量シェアされる動画が1本でも出ると、選挙戦に影響を与える可能性があります。

特に公式動画が出した動画の焼き直し、切り取りなどが行われると、爆発的な人気動画になることがあります。爆発的な人気動画を出せれば、選挙戦に少なからず影響を与える広告効果が期待できます。広告予算が少ない弱小陣営に取ってみると、SNSで自主クリエーターの協力がなければ、拡散されることは難しいでしょう。

「市民」と言っても、映像・出版・ITマーケティングの活躍している人も加わっている場合があり、選挙の時に市民ボランティアとして活発に活動しています。有力なマーケティングのプロになると、SNSの拡散・シェアを知人の大型アカウントに依頼するなどして一斉シェアを仕掛けることも可能になります。日頃からSNSやITマーケティングに強い市民を味方に付けることが大切になります。

ボトムアップ型になる拡散効果

テレビ・ラジオなどのマスメディアの出現以来、いわゆる「マスメディア」と呼ばれるものが国民の話題を決定してきました。特に日本においては、中央集権型が機能しており、首相官邸を記者クラブが取り囲んで、政治の話題を中央主導で決定して、それをマスメディアが取り扱って国民を誘導する世論誘導が行われてきました。インターネット登場後も、マスメディアは巨大な力を持ち続けています。

日本でも、近年マスメディアが話題を作る時代から、インターネットで市民が話題を作れる時代に変化が起こってきています。特に2017年頃から活発化したツィッター動画に見られるショート動画の効果は、インターネットメディアのあり方を大きく変えようとしています。広告素材などがリッチコンテンツになり、動画それ自体が拡散されるようになってきたからです。

インターネットにおいて動画を効果的に使うことができれば、マスメディアを通さなくても短期間で非常に効果的な広告効果が期待できるようになってきたのです。選挙においても、上手に動画を活用したグループが政策を短期間で浸透させて勝利するという結果を生み出すことに貢献することになります。

話題をマスメディアに誘導させない

話題をマスメディアに誘導されているようでは、市民のボトムアップ型の政治などいつまでも実現できません。市民の側が(主にインターネットを使って)話題を作っていく必要があります。マスメディアに取り上げられないところで騒いで、マスメディアに後追いをさせるイメージです。マスメディアも広告収入(=視聴率)で成り立っているので、話題になっているものを全く追わないわけにいかないのです。

市民が『話題を作るのは俺たちだ』という気持ちになって、話題を先導していくことをしていけば、マスメディアの記者クラブなど役に立たないものに変化していくでしょう。

選挙当日の広告

安倍晋三などは、選挙当日に広告を出しています。これが法律的にどうなのかという議論はありますが、選挙当日に広告を出して有権者にアプローチする事は、チラシ以上に一定の効果を持つ事は間違いありません。その選挙当日の広告は、誰でも分かりやすく、明るいものがいいとされています。

日常ツィッターの活用

立憲民主党は、2017年10月の衆議院選挙において短期間に20万近いフォローを集めて注目されました。選挙期間中は、どんなネタであったとしてもリツィートが増えて盛り上がりました。その後、立憲民主党のツィッターは、外部の新聞社のニュースなど「特徴がないニュース」が増えてゴチャゴチャになりました。

政党の公式アカウントに限った事ではないですが、日頃の運用、つぶやき内容を考えないと、フォロワーが無視するようになってしまいます。立憲民主党は、政党のサイトで沢山のニュースを配信するところにあり、そのニュースをツィッターで要約して流すような形だと注目が集まりやすくなります。また、動画をコストをかけて完璧にしてもRTされる回数は少ないので、演説シーンに字幕を付けるだけなど、コストをかけずにRTを取りに行く生成方法が大事になります。

動画を撮影する手法

政治家が訴えかけるのに有効なのは、画面のアップで1-2分のショート動画です。現在の問題点を指摘して、それに対する対応策を分かりやすく提示(出来れば数字で示す)します。デジタルカメラの動画で撮影して、数万円で購入できるワイヤレスのピンマイクを使う事が音声をクリアに録音するのに有効です。

ピンマイクを用意で気なければ、別途の録音機であったり、ガンマイクを使っても良いですが、音声がクリアに録音できるように気を付ける必要があります。

その他のメディア活用

上記には基本的な事を書いていますが、短期で候補者を効果的に広報するには、様々なメディアを組み合わせてアプローチを広げる方法が有効。