2018年5月3日
全編はこちら→https://youtu.be/UVzI-Lb4stw
「先ほどから、どうしてこんなにひどい政権に3割もの支持がいまだにあるのかということを皆さんがおっしゃっていました。選挙制度のせいもありますし、いろんな問題点がたくさんあると思いますが、私、思うのは憲法9条について、もっと幅広く言葉を獲得しないといけないんだということだと思うんですね。何のことかというと、あまり関心のない人には9条は戦争と、ただそれしかインプットしていません。だけど本当は9条は、本当はものすごく幅広い裾野を持っているということなんですね。考えてみましょう。戦争の前の社会ってどうですか。ほとんど毎回毎回10年ごとに日本は戦争をしていました。そしてそのたびに、ものすごい軍事費使いまくっていました。ちょっと統計を見てきたんですけど、日清戦争のときに財政のうちの軍事費69・4%。それから日露戦争81・9%。さらに日中戦争が始まったあとからは7割台でずっと来ている。財政の7割ですよ。そしてさらに敗戦直前の1944年、85・3%。どうですか。こういうものに歯止めをかけられないで、どうやって国のお金を私たちの暮らしや社会保障や生活の安定、貧困解決に使えるんでしょうか。戦争が終わったときの日本国憲法と9条はそういうものを大転換させるという意味があったはずなんですね。だから70年も変えずにみんなそれでもってやってきた。変えなかったんですね。その転換に賛同していたからですね。それはなぜかというと、まず9条という歯止めがあり、天井がありますよね、キャップがはまっているわけです。そこに生存権を守る25条とか、女性の家庭内での平等を保つ24条とか、働くというんで言えば労働の権利、義務、私たちは働く権利があるんだからちゃんとそれを国が保証しろという勤労権27条。それを使って労働組合をつくって私たちの労働条件をよくするために労働三権を使うという28条。いろんなものがうわーっとある。そういうことは、ちゃんと国の金が回ってくるようにするには戦争しちゃいけない。それを、もしかして9条の枠を外したとします、何らかの方法で。今盛んにそれをやろう、やろうと安倍政権は言っています。それを外したら社会保障できますか。野放図に軍事費が増えていく。だれがそれに歯止めをかけるのか分からない。という状況にたっていることを改憲問題を論じるときに、改憲は問題ないと言っている人たちはどれくらいそのことを意識しているでしょうか。介護や保育は大事だ。そんなことの方がずっと大事なのに、9条とか戦争とかあっちの話をしている場合じゃないとか、私関係ないですっていう人がたまにいます。関係あるんですよ。私たちがまともな育児支援、まともな介護支援、それ以外にも貧困対策、そして非正規がなんと4倍近くまで増えちゃっている。そういうような状況の人たちにまともな生活を保証する国の義務ということを守るのならば、そんなことに金を使ってはいけないというキャップを守らなければできないんです。そういうことをもっと私たちは分かってもらわなければいけない。今のような『モリ・カケ問題』が起こるような社会、国、政府でですね、歯止めを外したらまた7、8割軍事費という時代が来ないともかぎらないということをもう一度思い出す必要があります。よく平和ぼけという言葉があります。私たちはお金をちゃんとそこそこは原則として民生に使うんだという憲法に守られていて、もうそのありがたみが分からなくなっています。昔のことを思い出してみようと、よくシルバーの人ばっかり来ていると言いますが、当たり前です。どうしてかというと、単に戦争のことだけはでなくって、その時代、そういった社会では社会保障なんかほとんど顧みなれなかったし、女性は要するに家の中で社会保障がない分、家庭、家族に尽くせと言われ、めちゃくちゃだったわけじゃないですか。ご高齢の方は体感しているんですよ。だから9条というと、言葉にしないけれど無意識のうちにそういう自分たちの何となく体験している暮らしの、かつての非常に困った状態と言いますかですね、怖い状態がビビビっと連想されていくわけですね。だから来るんです。若い人はっていうと、若い人はそれに関心がない訳じゃない。でも戦争についての記憶をぶち切られてしまって戦争をする国になったら、君たちの大好きな奨学金もいろんなものも全部だめなんだぜということが理解されていないんです。だから私たちはそういう発言、そういう論理構成、そういう言葉を獲得して、戦争しない国っていうのは奨学金もちゃんとある、学費が安い、まともに教育が受けられる、若者の貧困がない、こういうことのために税金が使える国なんだ。それから女性について言うならば、子育て支援ちゃんと金が回ってくる、今みたいに待機児童ばっかりでヒイヒイ言っているような社会ではないことができる。そういうふうに発言していかなければいけないんだということを皆さんと是非共有していただきたいと思うんですね。ということがあまりにもこれまできちんと理解されてこなかった。つまり、今の私たちは2つの岐路に立っています。国威発揚の、誰か一部の人たちがいい気分になるための国に転換させるのか。それとも原則として国のためにお金を使う、ちゃんとした社会状況を守るのか。その岐路に立っているわけです。ですから、今のままこれを守りきることができれば、私たちはそれまでそういった原則に反対する人たちにじわじわと崩されていったいろんな私たちの権利をもう一回確認し、取り戻すことができるのではないでしょうか。改憲したいという人はいるかもしれません。もっと実態にあった改憲をしたい、いいです、よろしいでしょう。そのためにはまず今、国民のために金を使う、戦争をしない、国威発揚じゃなくて生活に使う。そういう確認を、そういう原則を確認するところまで来て、憲法がやっと本当に私たちのものになったときに時流にあった、もっといい改正をしてもいいかもしれません。いまそんなことを言っている場合じゃないんです。今の争点は国のための国威発揚のための改憲か、生活のための改憲か。国民が貧困に陥るか、そして格差が広がるか。それが今の改憲の争点になっていることをもう一度ここで皆さんと共有したいと思います。頑張りましょう。」出典↓
https://www.sankei.com/politics/news/180503/plt1805030025-n1.html