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国軍によるクーデターが発生してから10月1日で8ヶ月目を迎えるミャンマー。この間、ミャンマー国軍による苛烈な暴力により子どもを含む1,100名以上の市民が命を奪われ、8,400名近くが不当に逮捕されました。6,700名以上は今も拘束されたままです。また、少数民族地域で繰り返されてきた空爆や砲撃など、国軍の残忍な行為は25万人以上の国内避難民を生み出しています。新型コロナウイルス感染拡大の第三波にミャンマー全体が見舞われた中、人道危機も深まるばかりです。しかし、このような困難な状況にあっても、ミャンマー市民の意思は依然として明確です。
未来のために民主主義と自由を希求し、命がけの闘いを止めようとはしていません。私たちはクーデター以降、ミャンマーの情勢が一刻も早く改善され、ミャンマー市民の目指す民主主義の実現に向けて少しでも支援になればと考え、ミャンマーで経済協力やビジネスを行ってきた日本政府や企業に対し、「ミャンマー国軍の資金源を着実に断つ」よう求めています。
大変残念なことに、この8ヶ月間、日本政府も企業も国軍を利する可能性のある事業/ビジネスについて、「資金源を断つ」具体的かつ有効な措置を打ち出すどころか、なし崩し的に事業/ビジネスを続けているのが現状です。外務省は、ミャンマーにおける民政化プロセス以降、累積で1兆円を超える円借款契約を結び、継続案件の貸付を続けています。
ミャンマー国軍系の企業が建設工事の下請けに入っていたことが判明している「バゴー橋建設事業」に関し、最終的にどのような措置がとられたのか、また、日本の官民がミャンマー政府機関と共同運営している「ティラワ経済特別区開発事業」の配当金の支払いなどに関し、どのような措置をとった/とるのか、公に説明はありません。ミャンマーの事態が改善せず経済が停滞する中、日本からの莫大な借款への返済義務をミャンマー市民に負わせる正当性があるのかについても議論を始めるべきです。国際協力銀行(JBIC)の監督官庁である財務省は、ミャンマー陸軍の土地で建設中の「ヤンゴン博物館跡地再開発プロジェクト」(通称Yコンプレックス)事業について、JBICが依然融資を続けていることに関し何ら判断を示していません。
国土交通省は、自らが監督する海外交通・都市開発事業支援機構(JOIN)がミャンマーで出資し、国軍を利する可能性が指摘されている「Yコンプレックス事業」「ヤンキン都市開発事業」、「ランドマーク・プロジェクト」など5案件について、これまで何ら説明をしていません。
経済産業省は、軍政下だった2000年から生産を開始し、ミャンマー国軍の大きな収入源の一つになったと見られる「イェタグン・ガス田開発」に出資者として関与してきました。今年2月のクーデター発生後、4月には技術的な問題でガスの生産は停止されていました。しかし、その後、配当金や税金など各種支払いが国軍を利する可能性があるのではないかという日本の市民社会の懸念にもかかわらず、何ら措置を講じることなく、7月には生産が開始されていたことが判明しました。
8月からは、新型コロナウイルス感染拡大の第三波の影響でガス生産が再停止されているとのことですが、これは一時的な停止に過ぎず、いつ、このまま対策が打ち出されることもなくガスの生産が再開されるか、予断を許さない状況です。これら公的資金の恩恵を受けて各事業を実施してきた日本の企業も、国軍を利する可能性のあるビジネスにおいて、結局、何ら具体的な措置を示さないまま、ビジネスを継続してきています。
日本政府がこの8ヶ月間繰り返している判で押したような回答はもう要りません。10月に発足する新政権には、ミャンマー市民からの切実な訴えに耳を傾けるとともに、多大な経済支援をミャンマーに振り向けてきた日本政府としての責任ある態度をただちに示すよう、強く要請します。
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