【ゲノム問題検討会議】
いま新たなバイオテクノロジーであるエンジニアリング・バイオロジーが、世界的に広
がり始め、経済戦略の中心的なテーマのひとつになってきています。遺伝子や細胞の
研究が基礎研究から応用に進み、その分野を拡大してきました。それに伴い、これま
でバイオテクノロジーの応用がもっとも進んでいた医療や医薬品に加え、多様な産業
分野で取り組まれるようになってきているからです。
日本でも、経産省を筆頭にさまざまな産業分野で研究・開発が進んできています。そ
の中心にある産業が、脱炭素化を掲げて進められているエネルギーの分野と、マイク
ロプラスチック汚染問題やPFAS問題で揺れ動く化学の分野、フードテックが注目され
ている食品などです。
イノベーション戦略のもと、市民の知らされていないところで新しい技術が、新しい分
野で進められています。我々が好むと好まざるとに関わらず、産業と結びつけて進め
ようとしている力が働いているのですが、それが適正なのかどうか、社会にとって有益
であるのかどうか、倫理的にどこまで許されるのか、見極めていく必要があると思いま
す。
講師:
四ノ宮成祥:元防衛医科大学校長
「バイオテクノロジーと合成生物学」
見上公一:慶應義塾大学理工学部外国語・総合教育教室准教授
「エンジニアリング・バイオロジー:デザインされた生命への期待」
天笠啓祐:フリージャーナリスト・市民バイオテクノロジー情報室代表
「産業界でのバイオテクノロジー応用の現状」
司会:
島薗進:東京大学名誉教授