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20250112 UPLAN 浜田寿美男 「何もやっていない人がなぜ自白する? 日本の刑事司法の現状:無理が通れば、道理が引っ込む」

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【浅野健一が選ぶ講師による「人権とメディア」連続講座】
犯人でっち上げ(冤罪)は権力犯罪だ
「自白の研究」浜田寿美男氏が解き明かす
講師:
浜田寿美男さん(奈良女子大学名誉教授 発達心理学)
◎58年前に逮捕された元死刑囚の袴田巌氏の再審無罪が2024年10月9日に確定した。その4日後の10月13日、静岡市で開かれた「無罪確定を祝う会」で、袴田さんの「自白」が警察・検察による捏造であったことを証明する鑑定意見書を出した浜田寿美男奈良女子大学教授(発達心理学)に再会した。
その折に、私は浜田氏に、たんぽぽ舎での講演を依頼したところ、12月中旬、「来年1月12日(日)なら講演できる」というメールが届いた。たんぽぽ舎の柳田真共同代表に相談したところ、「事務所を引っ越して、『スペースたんぽぽ』のレイアウトも確定していないが、その日に使えるようにしたい」という返事をもらい、その日に学習会を開催することになった。
◎浜田氏とは1974年に兵庫県西宮市で起きた甲山事件の冤罪被害者・山田悦子氏の支援活動で1980年代初めに知り合った。京都大学出身の浜田氏は当時、花園大学社会福祉学部助教授だった。私が同志社大学教授になった1994年春、浜田氏らが京都で歓迎会を開いてくれた。
浜田氏は甲山事件以降、被疑者や目撃者の供述分析を行っている。
子どもの発達理論や心の読み取り方を研究する一方、多くの冤罪事件で、うその自白をする過程を分析してきた。『自白の研究』『自白が無実を証明する―袴田事件、その自白の心理学的供述分析』などの著書がある。
◎袴田氏の再審無罪が確定した2週間後の10月23日、名古屋高裁金沢支部は福井女子中学生殺人事件で無実の前川彰司さんの再審開始を決定。
検察は抗告せず、再審裁判の初公判が2025年3月に開かれ即日結審すると決まった。
1986年3月、福井市で中学3年の女子生徒が何者かに殺害され、1987年3月に前川彰司氏が不当逮捕された。
前川氏は一貫して否認。
福井地裁は無罪だったものの、名古屋高裁金沢支部の懲役7年の逆転有罪判決が確定。出所後の第1次再審請求で再審開始が決定したが、検察側の異議申し立てで高裁が取り消した。
第2次再審請求で今年10月に再審開始が確定した。
事件の直接証拠はなく、前川氏が犯人とされた確定判決は、複数の知人による「血の付いた前川さんを見た」「犯行告白を聞いた」などの目撃証言が最大の根拠だった。
◎第2次再審請求の証拠開示で、知人が「前川さんに会う前に見た」と話していたテレビ番組の具体的なシーンが、事件当夜には放送されていなかった事実が発覚。目撃証言は「客観的裏付けの乏しい状態」として信用性が大きく損なわれた。
東京新聞は16日特報面で、<自白や目撃証言、本当に正しい?再審公判で冤罪被害者を救済するかもしれない「供述心理鑑定」の効用とは>といいう見出しの記事を掲載した。
◎前川氏が冤罪被害者であることは、前川氏が逮捕された時に共同通信福井支局にいた中嶋啓明氏から聞いており、前川氏には「スペースたんぽぽ」で開いていた人権と報道・連絡会の定例会で講演してもらったこともある。
◎12月8日、和歌山毒カレー事件で再審請求中の林眞須美氏の支援集会が大阪であった。集会では、林氏の無実を証明する「ヒ素」鑑定をした河合潤京都大学名誉教授が講演したが、その二次会に前川氏が参加し、約10年ぶりに再会した。
前川氏は「何度も諦めたが、ウソの証言を強要された人が真実を話してくれて再審になった」と話した。
前川氏を支えてきた元福井市役所幹部の父親も「やっとここまでたどり着いた」と喜んでいるという。前川氏は日本各地で起きている冤罪事件の被害者と連携して闘ってきた。
◎権力のでっち上げ事件では、虚偽の「自白」「供述証言」が絡むことが多い。冒頭で書いた1/12(日)学習会講師の浜田氏は、渋谷「暴動」事件(1971年11・14沖縄闘争)で警察官殺害の実行犯とされた大坂正明氏の裁判で、デモ参加者の「目撃供述」が捜査機関による捏造であることを明らかにし、2024年12月、東京高裁へ鑑定意見書を提出している。
【浜田寿美男さん略歴】
1947年生まれ。奈良女子大学名誉教授。
1976年京都大学大学院文学研究科博士課程単位取得後退学。
花園大学助教授、同教授、奈良女子大学教授を歴任した。
専門は発達心理学、法心理学。