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20220420 UPLAN【後半】五十嵐彰「文化財返還運動から見通せること」

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【中国文化財返還運動を進める会「中国から略奪した文化財の返還を求める緊急集会」】
私たちは、現在、日清・日露戦争で日本が中国から略奪した文化財を元の場所に返還させる運動を始めています。
周知のとおり日本は明治から1945年までの約80年間、天皇制の下で中国・朝鮮などのアジア各地を侵略戦争と植民地支配で蹂躙してきました。日本の侵略による人的、経済的被害は膨大な規模にのぼります。
同時に日本は、アジア侵略の中で中国・朝鮮などから膨大な数の文化財を略奪し日本に運び込んできました。アジア各国の文化と伝統の破壊を日本は侵略の重要な要素として重視し、文化財の略奪を徹底的に行ってきました。
戦後の新憲法は前文で「政府の行為によって再び戦争の惨禍が起こることのないようにすることを決意し」9条で戦争放棄を宣言しました。又1972年の日中共同声明で日本政府は「過去において日本国が戦争を通じて中国国民に重大な損害を与えたことについての責任を痛感し、深く反省する」と表明しました。
しかし戦後の保守政権は戦前の侵略行為を真摯に反省しようとせず、21世紀に登場した安倍首相にいたっては侵略戦争を美化する靖国神社をバックアップするありさまです。またアジアから略奪した文化財について日本は、略奪の実態を自ら調査して公表することもせず、略奪した文化財の殆どを返還していません。貴重な文化財にいたっては略奪した事実を明らかにせず平然と博物館等で陳列されたりしている状況です。
私たちが返還運動に取り組んでいる中国文化財の現状は次のとおりです。
即ち、靖国神社の外苑の大鳥居の手前には左右に一対の石獅子像が置かれていますが、向かって左側は母子の獅子で母親の背中に子がのっている珍しいものです。しかし実はこの獅子像は日清戦争の時に日本軍が占領した遼寧省の海城市の三学寺にあった石獅子像を略奪してきたものです。
また皇居の吹上御苑の南端の桜田門の西側に、唐時代の「鴻臚井(こうろせい)の碑」という高さ約2メートル、重さ90トンの大きな石碑があります。しかし、この石碑は西暦713年に唐が渤海王を冊封した事績を記した貴重なもので、8世紀から10世紀にかけて存在した渤海という古代国家の研究に欠かせない歴史資料です。この石碑は日露戦争の際には遼寧省の旅順にあったのですが、歴史的価値が高いことを知った日本軍が略奪して明治天皇に献上したのです。
日本はポツダム宣言を受諾しサンフランシスコ講和条約で主権を回復しました。この講和独立の原点を踏まえれば、日本が日清・日露戦争で中国から武力で略奪し日本に運んだ文化財は当然元の場所に返還すべきです。
僅かな例ですが、既に日本が敗戦後、中国や朝鮮半島に略奪した文化財を返還した事例もあります。敗戦直後、連合国最高司令官総司令部(GHQ)の戦後処理の一環として中国文化財のごく一部が返還されました。 2005年には靖国神社に保管されていた「北関大捷碑」が大韓民国を経由して朝鮮民主主義人民共和国に戻され、2011年には「朝鮮王朝儀軌」を含む1205冊が韓国に返還されました。
しかし中国から略奪された文化財も膨大な数にのぼりますし、朝鮮半島から略奪された文化財は個人蔵も含めると30万点にのぼります。現在までに返還された中国・朝鮮の文化財はごくごく一部に過ぎません。
このような状況を踏まえて、国際政治・軍事情勢分析の第一人者である高野孟氏(ザ・ジャーナル編集主幹)が「日本の侵略と日中国交正常化50年一中国に再び戦争をしかけてはならない-」の演題で、東アジアの平和と共生のために何か必要なのかについて講演を行います。
また文化財返還問題に詳しい、岩波ブックレット『文化財返還問題を考える』の著者の五十嵐彰氏(慶應義塾大学非常勤講師)が「文化財返還還動から何か見通せるか」について講演を行います。
お二人の日本を代表する論客のお話は、まさに日中国交正常化50周年を迎えるうえで大きな意義のある、また大変興味深い講演になると思います。