児玉龍彦さん(東大先端研)と金子勝さん(立教大)にうかがう「新型コロナと闘う」シリーズ。オミクロン株の爆発的流行は、学校や高齢者施設に入り込み、特に重症化しやすい社会的弱者の危険は高まっています。いま、何をしなければならないのか、児玉先生に緊急の解説をお願いしました。
「オミクロンは重症化しにくいから大丈夫」と国は考えているかのようですが、今の流行はあまくはありません。実は、デルタ株の変異もじくじくと流行し、自宅で死亡した患者がデルタ株であることが判明した例もあります。ロシアや東欧、米国では、日本で急減したデルタ株とは違うデルタ株がしつこく死者を増やしています。今、街には、特性も治療法も重症化率も全く異なる種類の「コロナ」があり、患者にとっては、コロナかな?どのコロナかな?を診察・検査によって確定し適切な治療をしてもらうことが、重症化防止にも感染の抑制にも必要です。そのためには日本のすべての医療資源を活用し、ふつうの病気と同じように国民皆保険の下での医療の提供を工夫しなければとてもやっていけないでしょう。「敵」を正しくとらえることなく的確な防御はできません。日本だけではなく世界を見て、コロナウイルスのゲノム解析、遺伝子工学的な分析を含め科学的知見をもとに、必要な対策を講じなければ、患者の命を守れません。コロナの波に翻弄され続けて経済活動も再生できないことは明らかです。
今の政策は抜本的に変更し、国民・住民の命を守る科学的な思考に基づく対応策を打ち出すことが、岸田さんには求められています。
収録は、2022年2月5日