コロナショックでも生き残るシティホテル戦略
~地元の人たちを大切に出来るホテルへ~
今日は、コロナショックで生き残ることができるホテルについて、客層の点から簡単に話したいと思います。結論から先に言えば、コロナショックで生き残ることができるシティホテルというのは、地元のお客様を本当に大切にしているホテルということです。
バブル崩壊後の2000年代から地方にもチェーン化した格安ビジネスホテルが急増して、地方のシティホテルの競争相手になり、地方のシティホテルの多くが厳しい状況に陥っています。以前はシティホテルに宿泊していた都会から地方に来る出張サラリーマン・旅行客も、今では格安ビジネスホテルを選択することが増えているからです。
コロナショックは、こうした地方のシティホテルにさらに大きなダメージをあたえました。コロナショックで借入金の返済金額が膨れ上がった地方のシティホテルは、さらに激化する競争の中で生き残り戦略が必要になります。
今回のコロナショックが起こって、国際線がほとんど停止されることになり、ホテル事業が外国人観光客に依存することのリスクが表面化しました。また、国内旅行なども取りやめになるケースが相次いで、多くのホテルが休業に追い込まれました。ホテルを再開しても、急に観光需要が高くなる訳ではありません。特に地方のシティホテルは、厳しい経営状態が続くことになりそうです。
そこで、今回のコロナショックでも分かったことがあります。やはり、自分の近場、ホテルから5キロ圏内、10キロ圏内など、近くにいる人を大切にしている企業が生き残るということです。遠くのお客さま、例えば、海外のお客さまを呼んでくることは大切はありますが、それ以上に地元の人たちに愛され続ける工夫をすることが大切であるということです。当たり前のことなのですが、意外とできていないシティホテルが多いのです。
地域の人たちに日頃からシティホテルを利用する機会を増やして貰い、地元の人となるべく広い繋がりを持てるようにするためには、地元の人に何らかの特典を提供することが必要です。株主に優待するのと同じ感覚で、地域の人に対しても優待を行うという考え方が必要になると思います。それが長期的に見るとリターンを生み出すからです。
例えば、地元の人に対して町内会などを通じてシティホテル宿泊の優待券を配布したり、レストランの優待券を配布したり、コーヒー無料権を配布することでレストランに来場を促したりすることもできます。地域との繋がりを持てるシティホテルは、チェーン店のホテルにも対抗しやすくなります。
地元で倒産したシティホテルの特徴
私の地元で倒産したシティホテルの特徴としては、地元の人の評判が大変に悪くなっていることが多いのです。もともと業績が悪いという理由もあるのか、地元の人にも良いサービスを提供する意識が低くなっていて、地元の人から価格が高いだけで、使い勝手の悪いのシティホテルだと思われているのです。それでは、価格が安い格安ビジネスホテルに絶対に勝てません。
地元の人というのは、インターネットの書き込みを行ったりせず、お互いに会った時に口コミでホテルやホテル併設のレストランの情報を交換しあっているものです。地域の評判をあげて、ホテルの常連になる人を増やしていくことができれば、それだけ多くのお金を地元の人から頻繁に落として貰うことができるようになります。
地方にあるホテルは、地元の人の評価というもの気にしないと経営状況が良くなることはありません。地元の人は、地元のホテルのレストランなどを利用するもので、家族の記念日にホテルにきたり、友人をもてなすために一緒にホテルにきたりするのです。地元で愛されるようになれるホテルというのは、結果的に安定した経営が見込めるのです。
友達が東京・外国から地元に遊びに来る時には、どこか良いホテルを紹介してくれとか、代理でホテルを予約しておいて欲しいと言われることがあります。そうすると、地元で付き合いがあるホテルを紹介したくなる訳です。
日頃から付き合いがなかったり、評判が良くないホテルを友達に紹介することはできません。つまり、地元で評判が良いと分かっているシティホテルを何度も利用し続けることになるので、地元の人が紹介するお客さまの数というのは、かなりの数になるわけです。
逆に地元の人に評判が悪いホテルというのは、ビジネスホテルとの価格競争をしないといけない状況に追い込まれます。
インバウンドで海外の観光客にきちんとアピールできるほど、マーケティング力があったり、人材が揃っている企業ならば良いですが、多くのホテルはそうではありません。インバウンドを叫びながらも、インバウンドの取り込みを旅行会社に丸投げしてしまったり、社員が語学力が弱すぎて、アルバイトの大学生に頼ってしまったりしています。
地方のシティホテルは、地元のお客様を特に大切にすることで、もっと地元密着型を目指していくべきでしょう。地元の農家の人から野菜を直接仕入れたり、地元から採用している従業員を大切にするなど、地元を愛する心こそ、地方のシティホテルがチェーン化された格安ビジネスホテルにも打ち勝って生き残る道です。