【ゲノム問題検討会議】
ロシアによるウクライナ侵略がもたらした新たな事態に加え、中国・北朝鮮を仮想敵国とした軍拡が国の方針となりました。昨年5月に経済安全保障推進法が施行され、12月には安保3文書と食料安全保障強化大綱が閣議決定され、国家安全保障政策が軍事、インフラ、食料、科学技術開発、秘密保護など統合的、総合的となりました。
防衛費は5年間でこれまでの1.6倍の43兆円を計画しています。さらに防衛産業への支援を強化するための「防衛装備品生産基盤強化法」が今年6月7日成立し、国の財政支援を通じて、防衛装備品の海外輸出などを促進するとともに、事業継続が困難となった際に製造ラインの国有化を可能にするものです。
日本、イタリア、英国で戦闘機を共同開発することが決まり、殺傷能力のある戦闘機を他国に輸出することも検討してます。まさに日本政府は、「死の商人」へ変貌しているように思われます。
一方で政府が来年の通常国会への提案を目指すセキュリティクリアランス法案(特定秘密保護法)は、アメリカのセキュリティクリアランス制度と整合性を持つよう経済安保分野に秘密保護制度を拡大し、民間企業や大学・研究所で働く民間人に対してセキュリティクリアランス(機密とされる情報に接する資格を与えるもの)の網をかける法案です。企業の事業活動や大学、研究機関の研究開発にかつてないほど大幅な規制をかけるものです。
日本が殺傷武器を輸出することは、「メイド・イン・ジャパン」の武器によって他国の人々が殺傷されるようになることを意味します。これまで海外で様々な平和活動、救援支援活動などをしてきた市民団体、NGOなどが培ってきた現地の人々との信頼関係が崩されてしまいます。ここで声を上げていかなければ、死の商人に加担することになってしまいます。
日本の安全保障の在り方、軍事化する政治・経済、それと市民生活とのかかわりを皆さんと一緒に考え、どうしたらその流れを阻止できるかを考えていきたいと思います。
海渡雄一弁護士には特定秘密保護法について、井原聰先生には経済安保法とセキュリティクリアランス法案について、天笠啓祐さんにはサプライチェーンと食料安保との関係について、それぞれの専門分野から詳しく語っていただき、私たちの暮らしにどのような影響があるかを考えます。
私達に迫っている状況を是非とも共通の認識としたいと思います。戦争への道に反対の声を上げ続けること、同調圧力に屈しないことを皆さんとともに確認する場としたいと思います。
講師:
海渡雄一さん(弁護士)
「特定秘密保護法とは何か?」
井原聰さん(東北大学名誉教授)
「経済安保法とセキュリティクリアランス法案とは?」
天笠啓祐(ジャーナリスト)
「崩壊する食・農と食料安保」
司会:島薗進さん(大正大学客員教授、東京大学名誉教授