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20250606 UPLAN 東電株主代表訴訟控訴審判決

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【東電株主代表訴訟弁護団】
東電株主代表訴訟控訴審判決に対する弁護団声明
2025年6月6日
本日、東京高等裁判所第5民事部の木納敏和裁判長、伊藤正晴裁判官、森剛裁判官は、東京地裁判決(朝倉佳秀裁判長)を取り消し、福島第一原発事故の東京電力旧経営陣の責任を否定する判決を下しました。
この判決は、原発事故がもたらす地域社会ひいては国の崩壊をも招きかねない未曽有の被害実態を認定し、原発事業を営む東京電力という公益企業の経営者には、原発の安全性を確保するための重い経営上の責務が課されていることを認めたにも関わらず、実質的にはこれを否定したものです。
また、この判決は、東電の経営者において、原発事故を引き起こすような津波が襲来する危険性について切迫感等を抱くことまで要求しています。しかし、津波地震について切迫感等を有する予見可能性は、現在の地震学では殆どありえない認識を前提としており、到底容認し得ないものです。
福島第一原発事故について、国の国家賠償責任が最高裁の2022年6月17日判決によって否定されました。この判決には、三浦守裁判官による、理路整然とし、説得力のある反対意見が付されていたにもかかわらず、その後の原発事故に伴う損害賠償請求事件において、最高裁の判断に無批判に追随する下級審判決が繰り返されてきました。
私たちは、多くの命を奪い、数え切れないほどの人々の人生を破壊したにもかかわらず、原子力政策を積極的に推進してきた国を免責するということは、次の重大な原発事故の発生を準備するものであると批判してきました。
この判決は、原発事故後、東京電力の経営の責任は加重されていると認定していますが、原発事故前であっても、事故後であっても、原発の運転に高度の安全性が求められていたのは変わらないはずであり、本件判決は明らかに誤っています。
本判決は、原発が事故を起こせば甚大な被害と犠牲が発生し、取り返しがつかないこと、その責任は、運転を決定し、必要な事故対策を怠った原子力事業者の経営陣が負うべきであるという当然の事理を認めず、具体的な危険が切迫していない限り安全対策をしないという甘い経営判断を広く許容するものです。そのような姿勢で、福島第一原発事故のような事故が二度と起こらないようにできるわけがありません。私たちは、この判決も次の重大事故を準備するものであるとして強く抗議し、最高裁に上告する方針です。